2018
8
Oct

雑記

妖しく、凶悪で、美しい天使。

アイキャッチ画像撮影:SONY α7III , Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

 

 

薄暗い森の中、純白で、それは美しいキノコに出会うことがあります。
先日、青木ヶ原樹海でそれに出会いました。他所で見たのは数度、青木ヶ原で見たのは初めてですが、キノコが成体になるこの時期にここに来たのが初めてだったからかもしれません。
割と日本全国ポピュラーに存在するようです。

光の届きにくい暗がりで、異様なまでに飛び抜けて白いそれは、美しさの一歩向こうの禍々しさを放っているように感じることもあります。

写真からもしそのような感覚を受けた方がいらしたらその感覚は正しくて、これはドクツルタケという毒キノコ。しかもとびきりの。
(キノコは素人に近いので、もしかすると同定間違っているかもしれませんが、軸がささくれている、根元にツボがある、軸途中にヒダがある、などの特徴から合っていると思います)

その名の通り、日本で見られるキノコの中でも一、二を争って危険な毒キノコです。
笠の下あたりの軸部分にヒラっとしたヒダを持っていて、これが天使の羽のようにも見えることから、ヨーロッパでは”破壊の天使”、”殺しの天使”という異名を持っているそうです。
致死量はわずか8g。 一本食してしまうと、天使に天国に連れて行かれてしまいます。

症状も世にも恐ろしくて、当初はコレラのような激しい嘔吐・下痢といった症状が現れるのですが、この症状は一旦治って、回復したかのような状態になります。ところが、数日後〜1週間経過すると黄疸その他の肝障害に似た症状が現れ始め、その頃には腎臓や肝臓組織が破壊され始めて、その時は既に手遅れでやがて死に至るという・・・怖い・・。
このキノコが持っている環状ペプチドが腎臓や肝臓の細胞が必要とするたんぱく質の合成を阻害するため、臓器組織が丸ごと壊死してしまう、とのことです。
血清のようなものも存在していないので、肝臓や腎臓に吸収される前に胃洗浄などの措置を取るしかないようですが、”一旦症状が収まったように見せる”というのがこのキノコの凶悪なところで、手遅れになってしまうことが多く今でも年に何件かは中毒事故が起きるようです。

私自身は森でこのキノコに出会うと、そのなんとも言えない美しさと妖しいオーラに惹かれてしまい、とくに撮りたいとも思わないのにいつもレンズを向けてしまいます^^;
このキノコがそういう存在である、という意識が働いているからだとは思うのですが、怖いもの見たさ・・というか、悪いものも頂点を極めるほど悪いものは特別な美しさを放つといいますか。
破壊の天使に手招きをされるのです。

森でこの天使に出会ってもどうか一緒に昇天してしまわないよう、写真までにしておいてくださいね。

 

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